旅の終わり

私の、というより、私たちの旅の帰り道、終わりには必ずお風呂に入ることというのがある。
必ずと決めているわけではないけれど、必ずある。


先日の日記で金沢旅行のことを書いたが、こういう旅行はだいたい3度目になる。
こういう旅行とは、ある一定のメンバーで行く車の旅行のこと。
最初は私が(フィールドワークも一応かねて)温泉に行こうと言い出し、それのお付き合いするという感じだったのだと思うが、やはり車の移動は、座りっぱなしになるからか、帰り道では結構みんな疲れている。
いつの頃からか、帰り道は自然に温泉に立ち寄るようになった。


去年の今頃、みんなで旅行に行ったがその時は、四国の山奥にある「行基の湯」という所に行った。
料金は450円ほどだったと思うが、露天風呂とサウナもあり、私の記憶によれば、浴室のほとんどが檜で造られている、とても立派なお風呂だった。
名目は「温泉」であるが、女湯と男湯を分ける壁が銭湯のように、途中で切れていて(つまり天井は男女の境がなくて)、向こう側の男子チームの声が聞こえた。
(私の声が聞こえたと出たあとで言われたが、それは私の声じゃないですよ。)

露天はもっと声がつつぬけになっていて、「誰かいるー?」と聞いたら、よく知ってる声で「僕です」と返ってきたことには大笑いだった。

ここのお客さんはどういう人たちが中心なのかわからないが、露天で会ったおばちゃんなど本当にフレンドリーで、どこのうどんが美味しいなど色々教えてくれた。

この「行基の湯」の近くには、カブトムシ温泉というのもあり、気になったが行けずじまい。
ただ私以外の人は、その名前にあまりそそられなかったらしく、(行くのは)やめようと言われたような記憶がある。


この次の旅では、敦賀きらめきの湯というのに立ち寄った。
(施設には正式名称がありましたが、ど忘れしています。カーナビではこれで辿り着けます。)
ここの料金は1000円ほどで、山の上にどかーんとある大きなスーパー銭湯といった感じの温泉であった。
近くにトンネル温泉というのがあり、入ることは出来なかったが、温泉自販機を見つけることが出来た。


一緒に旅行に行く男子が出来てるな、と思うのは、女子の入浴時間をだいたい把握しているところだ。
どこの世界でもそうなのかは知らないが、私の周りでは、男子に比べ女子の方が圧倒的に入浴時間が長い。
それなのに、待ち合わせ時間を決めるときに、私たちは出られる時間の希望的観測を告げてしまうのだ。当然その時間に間に合いっこないのだが。
不思議なことにその男子はそれを分かっていて、「本当に大丈夫?」というようなことを聞く。
すると、一応不安になって30分時間を延ばしたりする。で、その時間でギリギリといった調子なのだ。
敦賀きらめきの湯では、そんな気を使わせてはならぬと思い、希望的観測よりも、予め30分ほど遅い時間を言ったら、その出来てる男子とは別の人に「遅い」と言われ、それでもめげずに(というか仕方なく)約束時間に行ったら、やはり「遅い」と言われてしまった。
話をきくと、それほど風呂を楽しんでいる様子もあまり見られなかったので、大きなお世話だが、もうちょっと露天風呂を楽しむとか、露天で語り合うとかやってもいいんじゃないかと、思ってしまった。
私たちはたいてい、やっています。

ここは露天風呂もあるが、やはりスーパー銭湯という雰囲気は拭えず、正直1000円という料金と見合っているのか首をかしげる印象だった。


そして、今回の旅行の帰り道に立ち寄ったのは、福井県鯖江にある「かわだ温泉」。
ここは、全国でもめずらしい混合泉で、重曹泉と芒硝泉が効能として挙げられている。
重曹泉は、美人の湯とも言われ、脂肪などを洗い流し、肌をきめ細かくする。
芒硝泉は、長寿の湯とも言われ、体の隅々まで血行を良くし、動脈硬化を防止する。
入館料は500円なのだが、源泉かけ流しの露天風呂もあって、非常に良かった。
さらに当日は雪もかなり積もっており、ライトアップもされていたので、本当に風流な感じがした。
その中で、私たちは雪山に突入しましたが。
聞けば、隣の男湯では雪をすくってきて、投げた人がいたとか。(もちろん知ってる人です)
どこでもやること一緒なのね。

この施設の隣には、市役所?か何か公的な施設があり、そこで働いている人が帰りに立ち寄るといった感じだった。
500円で、あれだけ充実した施設なら、毎日でも来るだろう。
ちなみにここでは、宿泊することやパン作りやそば・うどん打ちといった体験学習も出来る。


春の旅行は、たいていその先に大きかろうが小さかろうが、別れがある。
去り行く人、去らなければならない人も、ともに旅する私たちも、たぶん寂しい。
昨年の旅の主役も、今年一緒に行った人も、残る私たちを後ろから見て、寂しさを感じると言っていた。
自分はあの中からいなくなると。もうこんなには一緒にいられなくなると。
確かに。
でも、寂しい気持ちはきっと一緒なのだろう。
実は、私は帰り道に、いつも寂しくなって仕方ない。
本当にいつもいつも。
あまりにも彼らにお世話になって、あまりにも彼らのことが好きだからだ。

信じられないくらい、いい友達に恵まれたものだと思う。
みなさん、本当にありがとう。